日商簿記3級 個別指導テキスト
第3回

商品売買

今日のゴール

1 売上・仕入の基本的な一連仕訳を理解する Section 01〜05
2 売上原価を算定できるようになる Section 06

この授業で主に登場する勘定科目

Section 01

三分法

実務的にも簿記の試験でも、商品売買の仕訳は三分法により行います。

三分法とは

仕入・売上・繰越商品の3つの勘定科目を使って商品売買を記録する方法。

勘定科目 分類 使うタイミング
仕入 費用(P/L) 商品を購入したとき
売上 収益(P/L) 商品を販売したとき
繰越商品 資産(B/S) 決算時に期末在庫を振り替えるとき

Section 02

仕入売上

仕入は販売する商品を購入するときに使う勘定科目、売上は商品を売ったときに使う勘定科目です。


① 現金による仕入・売上

例1|商品10,000円を現金で仕入れた

借方(左)
仕入 10,000
貸方(右)
現金 10,000

例2|商品15,000円を現金で売り上げた

借方(左)
現金 15,000
貸方(右)
売上 15,000

② 掛けによる仕入・売上

掛けとは

代金を後払いにする取引。仕入側は買掛金(負債)、売上側は売掛金(資産)が発生する。

例3|商品10,000円を掛けで仕入れた

借方(左)
仕入 10,000
貸方(右)
買掛金 10,000

例4|商品15,000円を掛けで売り上げた

借方(左)
売掛金 15,000
貸方(右)
売上 15,000

③ 前払金・前受金

前払金・前受金とは

商品の引渡し前に代金の一部(手付金)をやりとりする場合に使う。
支払った側は前払金(資産)、受け取った側は前受金(負債)として処理する。

例5|商品購入前に手付金3,000円を現金で支払った

借方(左)
前払金 3,000
貸方(右)
現金 3,000

例6|商品10,000円の引渡しを受け、残額7,000円を現金で支払った

借方(左)
仕入 10,000
貸方(右)
前払金 3,000
現金 7,000

Section 03

クレジット売掛金

クレジットカードで販売した場合、代金はカード会社から後日入金される。通常の売掛金と区別するためクレジット売掛金を使う。

支払手数料の計上タイミング

カード会社への手数料を支払手数料(費用)として販売時回収時どちらで計上するかは、問題文に明示されている。問題文の指示に従うこと。

例1|商品10,000円をクレジットカードで販売した(手数料3%は販売時に計上)

借方(左)
クレジット売掛金 9,700
支払手数料 300
貸方(右)
売上 10,000

手数料300円(10,000×3%)を差し引いた金額でクレジット売掛金を計上

例2|カード会社から手数料300円を引かれた残り9,700円が普通預金に振り込まれた(手数料は回収時に計上)

借方(左)
普通預金 9,700
支払手数料 300
貸方(右)
クレジット売掛金 10,000

Section 04

付随費用

仕入・売上に付随して発生する発送費などの取り扱い。誰が負担するかによって処理が変わる。

① 仕入時の発送費(当社負担)→ 仕入に加算

当社が負担する発送費は仕入金額に加算して処理する。仕入れにかかる発送費は仕入れという事実がないと生まれないため含めて計上する。

例1|商品10,000円を掛けで仕入れ、発送費500円を現金で支払った(当社負担)

借方(左)
仕入 10,500
貸方(右)
買掛金 10,000
現金 500

② 仕入時の発送費(相手負担)→ 立替金

相手が負担すべき発送費を当社が立て替えた場合、立替金(資産)で処理する。

例2|商品10,000円を仕入れ、相手負担の発送費500円とともに現金で支払った

借方(左)
仕入 10,000
立替金 500
貸方(右)
現金 10,500

③ 仕入時の発送費(相手負担)→ 買掛金の減少

掛け取引の場合、相手負担の発送費を立て替えた分を買掛金から差し引くこともできる。

例3|商品10,000円を掛けで仕入れ、相手負担の発送費500円を現金で支払った

借方(左)
仕入 10,000
貸方(右)
買掛金 9,500
現金 500

④ 売上時の発送費(当社負担)→ 発送費

売上に関連して当社が負担する発送費は発送費(費用)として計上する。

例4|商品10,000円を売り上げ代金は掛けとした。発送費800円は現金で支払った

借方(左)
売掛金 10,000
発送費 800
貸方(右)
売上 10,000
現金 800

Section 05

仕入・売上の返品

返品が発生したときは元の仕訳の逆仕訳を行う。

① 仕入返品

例1|掛けで仕入れた商品2,000円を返品した

借方(左)
買掛金 2,000
貸方(右)
仕入 2,000

② 売上返品(返品を受けた)

例2|掛けで販売した商品2,000円の返品を受けた

借方(左)
売上 2,000
貸方(右)
売掛金 2,000

Section 06

売上原価※決算整理で改めて授業します

売った商品の仕入金額を売上原価という。(売上に直結する仕入)

具体例

1,000円で仕入れた商品を1,500円で売った場合
 ・売上   = 1,500円(販売価格)
 ・売上原価 = 1,000円(仕入原価)
 ・売上総利益 = 500円(売上 − 売上原価)


在庫の流れと売上原価の関係

在庫の流れと売上原価の関係(個数でイメージつける)

期首在庫
100個
前期から繰り越し
+
期中仕入
800個
当期に購入
=
販売可能数量
900個
100 + 800
900個のうち
期末在庫
200個
次期に繰り越し
→ だから売れたのは
売れた(売上原価)
700個
900 − 200
売上原価の計算式

売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 − 期末在庫
     = 100個 + 800個 − 200個 = 700個分

試験では金額で考える


しいくりくりしい(決算整理仕訳)

三分法では仕入時に「仕入」と計上するのみで在庫の増減が反映されない。そこで決算時に繰越商品を使って2つの仕訳を行い、正確な売上原価を算出する。
この2つの仕訳を語呂合わせで「しいくりくりしい」と呼ぶ。

① しい→くり(期首在庫を仕入に振替)
仕入 / 繰越商品

期首に持っていた在庫は「すでに販売した商品」として仕入に加える

② くり→しい(期末在庫を繰越商品に振替)
繰越商品 / 仕入

期末に残った在庫は「まだ売っていない分」なので仕入から除く


しいくりくりしい 例題

前提データ

期首繰越商品:1,000円 / 当期仕入高:8,000円 / 期末繰越商品:2,000円

① しいくり|期首の繰越商品(1,000円)を仕入に振り替える

借方(左)
仕入 1,000
貸方(右)
繰越商品 1,000

② くりしい|期末の在庫(2,000円)を繰越商品に振り替える

借方(左)
繰越商品 2,000
貸方(右)
仕入 2,000
この2仕訳後の「仕入」勘定残高=売上原価

当期仕入 8,000 + 期首在庫 1,000 − 期末在庫 2,000 = 売上原価 7,000円

しいくりくりしいをすることで、売上に直結する原価を算定できる。

今日のまとめ

1 売上・仕入の基本的な一連仕訳を理解する
現金・掛け・前払金/前受金 で処理が異なる クレジット売掛金は支払手数料の計上タイミングに注意 付随費用:当社負担の仕入発送費は仕入加算 / 売上発送費は発送費(費用) 返品はもとの仕訳の逆仕訳
2 売上原価を算定できるようになる
売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 − 期末在庫 しいくりくりしい(決算整理仕訳)で正確な売上原価を算定