第5回 日商簿記3級 個別指導テキスト

有形固定資産

今日のゴール

1 取得から売却までの一連の仕訳が分かる

この授業で主に登場する勘定科目

Section 01

有形固定資産の購入

固定資産とは、長期にわたって使用するもののこと。
そのうち形のあるもの有形固定資産という。

物品の分類

物品

  • 売り物商品
  • 自分で使う
    • 長期有形固定資産
    • 短期消耗品

主に出てくる有形固定資産

土地建物備品車両運搬具 など


取得時の計上

有形固定資産を取得したときは、取得原価をもって有形固定資産の勘定科目で計上する。

取得原価の計算

取得原価 = 購入代価 + 付随費用
付随費用=使用までに要した費用(引取運賃・据付料 など)

試験のコツ

固定資産の問題に費用らしきものが出てきたら十中八九付随費用。
「その費用は固定資産のためにあるか?」と考える。

例題|備品の取得

問題

備品を600,000円で購入し、据付料30,000円を現金で支払った。

取得原価 = 600,000 + 30,000 = 630,000円

借方(左)
備品 630,000
貸方(右)
現金 630,000
解説

据付料は付随費用のため、備品の取得原価に含める。

Section 02

減価償却(決算整理)

減価償却とは、有形固定資産の劣化に対応させて資産を費用にしていくこと(資産の費用化)。

おまけ|投資回収計算という見方

固定資産は長期的に利益を生む目的で購入する。毎期減価償却で費用化し、毎期利益が出ていれば投資の回収ができていると考えられる。

減価償却する資産としない資産

減価償却する
時の経過で価値が減る

建物・備品・車両運搬具 など

減価償却しない
時の経過で価値が減らない

土地 など


減価償却の計算方法(定額法)

日商簿記3級では定額法が出題される。

定額法の計算式

1年分の減価償却費 =(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数

残存価額… 耐用年数が終わったあとに資産として残ると見込まれる金額
耐用年数… 資産を使用できると見込まれる年数(税法で定められた年数を用いることが多い)

期中に取得し、1年間まるまる使用しなかった場合は、利息の計算と同様に月割計算を行う。

減価償却累計額とは

減価償却によって資産の価値が減った分を累計で記録する勘定。貸借対照表上、当該資産のマイナス(控除項目)として表示される(評価勘定)。

帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額

例題|定額法・期中取得の月割

問題

備品(取得原価360,000円・残存価額60,000円・耐用年数5年)を10月1日に取得した。決算日は3月31日。当期の減価償却費は?

① 1年分 =(360,000 − 60,000)÷ 5 = 60,000円
② 使用月数 10月〜3月 = 6ヶ月
③ 当期の減価償却費 = 60,000 × 6/12 = 30,000円

借方(左)
減価償却費 30,000
貸方(右)
備品減価償却累計額 30,000
貸借対照表の見方

備品と減価償却累計額は、次のように並べて読む。

備品360,000
減価償却累計額▲ 30,000
帳簿価額330,000

月次決算

多くの企業では年に1回数字を確定するのではなく、月次決算といい毎月金額を確定し経営判断に役立てている。

日商簿記3級では、11ヶ月分はすでに計上済みとして、残り1ヶ月分だけ自分で計上する問題がたまに出てくる。

例題|月次決算(残り1ヶ月分)

問題

備品(取得原価360,000円・残存価額60,000円・耐用年数5年)について、11ヶ月分の減価償却はすでに計上済み。決算日は3月31日。決算整理仕訳を記入せよ。

1年分 =(360,000 − 60,000)÷ 5 = 60,000円
残り1ヶ月分 = 60,000 ÷ 12 = 5,000円

借方(左)
減価償却費 5,000
貸方(右)
備品減価償却累計額 5,000

Section 03

固定資産の売却

売却損益の計算

売却額 − 帳簿価額 = 売却損益

プラスなら固定資産売却益、マイナスなら固定資産売却損を計上する。

帳簿価額を自分で計算できるかどうかが論点となる。

帳簿価額の計算

帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額 − 当期の減価償却費
※期中に売却した場合、当期分の減価償却費も差し引く。

例題|備品の売却(売却益)

問題

備品(取得原価600,000円)を売却。減価償却累計額350,000円、当期減価償却費50,000円を計上済み。売却代金250,000円は現金で受け取った。

帳簿価額 = 600,000 − 350,000 − 50,000 = 200,000円
売却損益 = 250,000 − 200,000 = 売却益 50,000円

借方(左)
現金 250,000
備品減価償却累計額 350,000
減価償却費 50,000
貸方(右)
備品 600,000
固定資産売却益 50,000

Section 04

修繕

有形固定資産の修繕をしたとき、次の2つの考え方が出てくる。

収益的支出
現状維持のため

修繕費(費用)で計上

資本的支出
価値を増加させる

有形固定資産の勘定科目で資産計上

例題|修繕費と資本的支出

問題

建物の修繕に280,000円を現金で支出した。うち80,000円は壁の塗り直しであり現状を維持するための支出200,000円はエレベーターの新設であり建物の価値を高める支出である。仕訳せよ。

80,000円 → 収益的支出(修繕費
200,000円 → 資本的支出(建物

借方(左)
修繕費 80,000
建物 200,000
貸方(右)
現金 280,000

おまけ

貸借対照表|資産の見方

日商簿記3級で出てくる資産の中には流動資産固定資産がある。各勘定科目はいずれかに分類される。

並び順は大まかに現金に近しい順。要するに換金性が高い順に並んでいる。

換金性が高い ↑
流動資産
現金
当座預金
売掛金
繰越商品
… など
換金性が低い ↓
固定資産
建物
備品
車両運搬具
土地
… など
貸借対照表の資産の部は、上から下へ換金しやすい順に並ぶイメージ
覚え方

「すぐお金になるもの」が上、「長く使うもの・売却に時間がかかるもの」が下。有形固定資産は固定資産の部に載る。

今日のまとめ

1 取得から売却までの一連の仕訳が分かる
取得 → 取得原価(購入代価+付随費用)で有形固定資産を計上 減価償却 → 定額法・月割。減価償却累計額は評価勘定(貸方) 月次決算 → 11ヶ月分計上済み。残り1ヶ月分を自分で計上 売却 → 帳簿価額を求め、売却額との差で売却益・売却損 修繕 → 現状維持は修繕費、価値増加は有形固定資産