第6回 日商簿記3級 個別指導テキスト

資本金・税金

今日のゴール

1 日商3級で出題される純資産の動きを理解する
2 法人税・消費税の一連仕訳を理解する

この授業で主に登場する勘定科目

Section 01

改めて純資産とは

純資産の計算

資産 - 負債 = 純資産

純資産の中には資本金利益剰余金がある。

利益剰余金の中には、さらに利益準備金繰越利益剰余金がある。

純資産の構成

純資産

  • 資本金
  • 利益剰余金
    • 利益準備金
    • 繰越利益剰余金

資本金とは、設立した時・増資した時に株主から出資された金額をいう。

利益剰余金とは、会社がこれまで獲得した利益の積み上げをいう。

Section 02

資本金

株式会社は、設立時・設立後を問わず、株主から資金を調達して株式を発行することができる。

払込金額の計算

1株あたりの金額 × 株式数 = 払込金額

払込金額は資本金として計上する。

設立と増資

会社を最初に作るとき(設立)も、あとから資金を集めるとき(増資)も、考え方は同じ。

例題|会社設立時の仕訳

問題

株式会社を設立し、1株あたり50円で100株を発行した。払込金は当座預金に預け入れた。

払込金額 = 50 × 100 = 5,000円

借方(左)
当座預金 5,000
貸方(右)
資本金 5,000
解説

株主から集めたお金が資産(当座預金)として入ってくる。同時に、会社への出資分として純資産(資本金)が増える。

Section 03

損益振替

損益計算書は、1年間の成績を示すものである。そのため1年経てば、損益計算書の勘定科目はすべて0円になる。

決算の最後に、収益と費用を損益という勘定科目を使って振り替える処理を行う(損益振替)。

損益振替の手順

収益の勘定科目を損益に振り替える

費用の勘定科目を損益に振り替える

損益から繰越利益剰余金に振り替える

損益計算書と貸借対照表の関係

損益計算書は、貸借対照表の中の純資産の増減要因を示す書類である。

損益から繰越利益剰余金に振り替えることで、この考え方が成り立つ。

例題|損益振替の一連の仕訳

問題

決算において次の残高がある。一連の損益振替を行いなさい。
売上 4,000 / 固定資産売却益 500 / 仕入 3,000 / 減価償却費 600

① 収益を損益に振り替える

借方(左)
売上 4,000
固定資産売却益 500
貸方(右)
損益 4,500

② 費用を損益に振り替える

借方(左)
損益 3,600
貸方(右)
仕入 3,000
減価償却費 600

③ 損益から繰越利益剰余金に振り替える

損益残高 = 4,500 − 3,600 = 900(利益)

借方(左)
損益 900
貸方(右)
繰越利益剰余金 900
解説

収益合計(4,500)から費用合計(3,600)を差し引いた差額900が当期純利益。最終的に繰越利益剰余金に振り替えることで、純資産が900増える。

Section 04

配当

会社の持ち主は株主である。株主は、会社の利益の一部を配当として受け取ることができる。

繰越利益剰余金(利益の積み上げ)の中から配当を行う。

利益準備金への積立て

配当金の支払いが確定した場合、会社法で利益準備金を積み立てることが決まっている。会社のため一部は残しておこうというものである。

例題|配当の決定

問題

株主総会において、繰越利益剰余金から配当金 10,000円、利益準備金 1,000円を処分することが決定した。

借方(左)
繰越利益剰余金 11,000
貸方(右)
未払配当金 10,000
利益準備金 1,000
解説

配当が「決定」しただけなのでまだ現金は出ていない。そのため貸方は未払配当金(負債)となる。実際に支払ったときに未払配当金を現金で減らす。

Section 05

法人税

法人が納める税金が法人税である。利益に対して課税される。

法人税は決算時に納付するほか、期中に中間納付(予定納税)を行う場合がある。1年分の法人税を見込んで、期中にあらかじめ一部を納めるイメージである。

3月決算の場合のスケジュール

11月末 中間納付の期限

3月末 決算(確定額が確定)

5月末 確定納付の期限

使う勘定科目

法人税等…会社の利益に応じて支払う税金のこと。費用として計上する。

仮払法人税等…中間納付をしたときに使う(資産)

未払法人税等…決算で確定額が決まったときに使う(負債)。支払い時に取り崩す。

例題|法人税の一連の仕訳

問題

① 11月末 法人税の中間納付として 60,000円を現金で支払った。
② 3月末 決算で法人税の確定額が 130,000円と決まった。
③ 5月末 確定納付として差額 70,000円を現金で支払った。

① 中間納付(11月末)

借方(左)
仮払法人税等 60,000
貸方(右)
現金 60,000

② 決算整理(3月末)

未払法人税等 = 130,000 − 60,000 = 70,000円

借方(左)
法人税等 130,000
貸方(右)
仮払法人税等 60,000
未払法人税等 70,000

③ 確定納付(5月末)

借方(左)
未払法人税等 70,000
貸方(右)
現金 70,000
解説

中間納付した 60,000 は仮払いとして資産に計上しておく。決算で確定額 130,000 と判明したら、仮払分を取り崩して差額 70,000 を未払法人税等(負債)に計上。5月末に実際に払ったとき未払分を消す。

Section 06

消費税

商品やサービスの取引に課される税金が消費税である。

日商簿記3級の扱い

3級では税抜方式が採用される(消費税を商品代金と切り離して別勘定で処理する考え方)。

使う勘定科目

仮払消費税…仕入など支払い側で消費税を払ったときに使う(資産)

仮受消費税…売上など受取り側で消費税を受け取ったときに使う(負債)

例題|仕入・売上時の消費税の仕訳

問題

① 商品 10,000円(税抜)を仕入れ、消費税 1,000円とあわせて現金で支払った。
② 商品 20,000円(税抜)を販売し、消費税 2,000円とあわせて現金で受け取った。

① 仕入時

借方(左)
仕入 10,000
仮払消費税 1,000
貸方(右)
現金 11,000

② 売上時

借方(左)
現金 22,000
貸方(右)
売上 20,000
仮受消費税 2,000

決算時は、仮払消費税と仮受消費税を相殺する仕訳を行い、当期に納付する消費税を確定させて未払消費税として計上する。

例題|決算時の消費税の仕訳

問題

決算において、仮払消費税の残高が 1,000円、仮受消費税の残高が 2,000円であった。決算整理仕訳を行いなさい。

未払消費税 = 2,000 − 1,000 = 1,000円

借方(左)
仮受消費税 2,000
貸方(右)
仮払消費税 1,000
未払消費税 1,000
解説

受け取った消費税(仮受)から、支払った消費税(仮払)を差し引いた残りが、国に納める消費税になる。差額を未払消費税(負債)に計上し、納付時に取り崩す。

今日のまとめ

1 日商3級で出題される純資産の動きを理解する
純資産 = 資産 − 負債。資本金 + 利益剰余金(利益準備金・繰越利益剰余金) 資本金 → 1株あたりの金額 × 株式数 = 払込金額。設立・増資とも同じ考え方 損益振替 → 収益・費用を損益へ振替 → 差額を繰越利益剰余金へ 配当 → 繰越利益剰余金から支出。一部は利益準備金に積立て
2 法人税・消費税の一連仕訳を理解する
法人税 → 中間納付:仮払法人税等 / 決算:法人税等・未払法人税等 / 納付:未払を取崩 消費税 → 仕入:仮払消費税 / 売上:仮受消費税 / 決算:相殺して未払消費税を計上