日商簿記3級 個別指導テキスト
第9回

決算整理仕訳・
決算整理後残高試算表

今日のゴール

1 決算整理仕訳で何が出題されるか把握する

Section 01

決算整理仕訳

期中の仕訳だけでは正しい貸借対照表・損益計算書を作成できません。正しく作成するための最後の調整として行う仕訳を決算整理仕訳と言います。

種類 説明 仕訳例
期中の仕訳もれ 計上し忘れた取引を期末に記帳する (内容により異なる)
訂正仕訳 誤った仕訳を取り消し、正しく直す 誤仕訳の逆仕訳 → 正しい仕訳
現金過不足 帳簿残高と実際有高の差を期末に整理する 雑損 / 現金過不足 現金過不足 / 雑益
当座借越 当座預金残高がマイナスの場合に負債へ振替 当座預金 / 当座借越(or 借入金)
売上原価 期末商品棚卸高を調整し、売れた商品の原価を確定する 仕入 / 繰越商品(期首商品) 繰越商品 / 仕入(期末商品)
貸倒引当金 売掛金等の将来の回収不能見込額を計上する 貸倒引当金繰入 / 貸倒引当金
減価償却 固定資産の価値の目減り分を費用として計上する 減価償却費 / 減価償却累計額
貯蔵品 未使用の切手・収入印紙を費用から資産へ振替 貯蔵品 / 通信費 貯蔵品 / 租税公課
経過勘定 収益・費用を正しい会計期間に対応させる(4種類) 費用 / 未払費用 未収収益 / 収益 前払費用 / 費用 収益 / 前受収益
消費税 仮受・仮払消費税を相殺して未払消費税を確定する 仮受消費税 / 仮払消費税        未払消費税
法人税等 当期の税額を確定し、未払分を計上する 法人税等 / 仮払法人税等       未払法人税等
損益振替 全収益・費用を損益勘定に集計し、当期純利益を確定する 収益勘定 / 損益(収益を振替) 損益 / 費用勘定(費用を振替) 損益 / 繰越利益剰余金

Section 02

決算整理後残高試算表

残高試算表とは

全ての勘定科目の残高を集計した一覧表。借方合計=貸方合計が必ず成立する。

決算整理後残高試算表とは


前 → 決算整理 → 後のイメージ

2つの決算整理仕訳を行うと、残高試算表の数値がどう変わるかを確認しよう。

決算整理前(一部)
借 方勘定科目貸 方
12,000支払利息
24,000保険料
  • 支払利息 3,000 / 未払利息 3,000
  • 前払保険料 6,000 / 保険料 6,000
決算整理後(一部)
借 方勘定科目貸 方
6,000前払保険料
未払利息3,000
15,000支払利息
18,000保険料
Note 決算整理後も借方合計=貸方合計は変わらない。
変わった科目は数値が更新され(支払利息・保険料)、新しい科目は行が追加される(前払保険料・未払利息)。

Section 03

練習問題

次の決算整理前残高試算表と決算整理事項にもとづいて、決算整理後残高試算表を完成させなさい。

決算整理前残高試算表

X8年3月31日(単位:円)

借方勘定科目貸方
50,000現 金
300,000売掛金
20,000繰越商品
480,000備品
108,000仮払消費税
30,000仮払法人税等
貸倒引当金3,000
備品減価償却累計額96,000
買掛金120,000
仮受消費税135,000
借入金150,000
資本金300,000
繰越利益剰余金46,000
売上1,350,000
900,000仕入
240,000給料
36,000通信費
24,000保険料
12,000支払利息
2,200,000合計2,200,000

決算整理事項

  1. 期末商品棚卸高:28,000円(売上原価は「仕入」勘定で計算すること)
  2. 売掛金の期末残高に対して2%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)
  3. 備品を定額法で減価償却する(耐用年数5年・残存価値ゼロ)
  4. 経過勘定:①支払利息の未払い 3,000円 ②保険料のうち6,000円は翌期分
  5. 通信費のうち4,000円は未使用の切手代(貯蔵品に振替)
  6. 仮受消費税と仮払消費税を相殺し、未払消費税を確定させる
  7. 法人税等72,000円を計上する(仮払法人税等と相殺、差額を未払法人税等とする)

決算整理後残高試算表

X8年3月31日(単位:円)

借方勘定科目貸方
50,000現 金
300,000売掛金
繰越商品
貯蔵品
前払保険料
480,000備品
貸倒引当金
備品減価償却累計額
未払消費税
未払利息
未払法人税等
買掛金120,000
借入金150,000
資本金300,000
繰越利益剰余金46,000
売上1,350,000
仕入
240,000給料
通信費
保険料
支払利息
貸倒引当金繰入
減価償却費
法人税等
合計
解  答

① 決算整理仕訳

① 売上原価(仕入勘定)

借方

仕入20,000

貸方

繰越商品20,000

借方

繰越商品28,000

貸方

仕入28,000

仕入:900,000+20,000−28,000=892,000 繰越商品:28,000

② 貸倒引当金 300,000×2%=6,000 既存3,000 → 繰入3,000

借方

貸倒引当金繰入3,000

貸方

貸倒引当金3,000

③ 減価償却 480,000÷5年=96,000

借方

減価償却費96,000

貸方

備品減価償却累計額96,000

④ 経過勘定

借方

支払利息3,000

貸方

未払利息3,000

借方

前払保険料6,000

貸方

保険料6,000

⑤ 貯蔵品

借方

貯蔵品4,000

貸方

通信費4,000

⑥ 消費税 135,000−108,000=27,000(未払)

借方

仮受消費税135,000

貸方

仮払消費税108,000
未払消費税27,000

⑦ 法人税等 72,000−30,000=42,000(未払)

借方

法人税等72,000

貸方

仮払法人税等30,000
未払法人税等42,000

② 決算整理後残高試算表

X8年3月31日(単位:円)

借方勘定科目貸方
50,000現 金
300,000売掛金
28,000繰越商品
4,000貯蔵品
6,000前払保険料
480,000備品
貸倒引当金6,000
備品減価償却累計額192,000
未払消費税27,000
未払利息3,000
未払法人税等42,000
買掛金120,000
借入金150,000
資本金300,000
繰越利益剰余金46,000
売上1,350,000
892,000仕入
240,000給料
32,000通信費
18,000保険料
15,000支払利息
3,000貸倒引当金繰入
96,000減価償却費
72,000法人税等
2,236,000合計2,236,000

今日のまとめ

1
決算整理仕訳で何が出題されるか把握する

決算整理仕訳は期中仕訳だけでは反映できない調整を期末に行うもの。売上原価・貸倒引当金・減価償却・経過勘定が特に頻出

決算整理後残高試算表=決算整理前残高試算表に決算整理仕訳を反映して集計し直したもの。借方合計=貸方合計は変わらない

試験(第3問)では決算整理後残高試算表の完成が頻出。決算整理仕訳の影響を一科目ずつ丁寧に反映させることが鍵